生徒指導Ⅰ『生徒指導提要』の改訂をふまえたこれからの生徒指導の方向性(関西外国語大学 新井 肇):校内研修シリーズ №129

NITS独立行政法人教職員支援機構
30 Mar 202329:26

Summary

TLDR関西外国語大学の新井肇教授が、生徒指導提要の改定を基に、今後の生徒指導の方向性について語る。提要の改定背景は、問題行動の増加やVUCA時代の変化、多様な背景を持つ生徒の増加、関連法規の改正、働き方改革の求めらに分類。生徒指導は、学習指導と並ぶ学校教育の重要な機能で、個性化と社会性育成を目指す。自己指導能力の育成が目標とされ、発達的生徒指導や学習指導との一体化、チーム学校による支援体制が提唱されている。

Takeaways

  • 📚 新井肇氏が関西外国語大学の生徒指導提要の改定に関する講演を行い、生徒指導の方向性について語っている。
  • 🔄 2022年12月に生徒指導提要が12年ぶりに改定された。改定の背景には、問題行動や不登校の増加、いじめの深刻化、自殺者の増加などがある。
  • 👥 VUCA時代の変化に対応する必要性と、多様な背景を持つ生徒への対応が求められている。
  • 🌐 国際情勢の不透明感や気候変動、AIの進展、コロナ禍など、社会経済の変化に生徒指導が適応する必要がある。
  • 🏫 学校教育における生徒指導の役割は、学習指導と並んで重要な機能を担っている。
  • 🔧 生徒指導は、児童生徒の問題行動を捉え直し、彼らが社会で自分らしく生きるための支援を行う。
  • 📈 生徒指導の目的は、個性化を支援するだけでなく、社会に責任を持つ人材を育成することにある。
  • 🛠️ 学習指導と生徒指導の一体化が求められ、教室での教科の学びが個性や社会性への成長につながるようになっている。
  • 👨‍👩‍👧‍👦 チーム学校による生徒指導体制の構築が重要で、多様な専門家と連携し、生徒指導の充実と教員の働き方改革を目指している。
  • 👀 生徒指導の取り組みでは、児童生徒の権利に関する理解が重要で、国連児童の権利に関する条約や子供基本法を踏まえている。
  • 🤖 ICTの活用が生徒指導に寄与し、言葉にできない生徒がデジタルツールを通じて自己表現することができる。

Q & A

  • 関西外国語大学の新井肇先生が生徒指導提要の改定についてどのような点を挙げていますか?

    -新井肇先生は生徒指導提要の改定の背景として、児童生徒の問題行動や不登校の増加、いじめの深刻化、VUCAな時代の変化への対応、多様な背景を持つ児童生徒の増加、関連法規の成立・改正、働き方改革と生徒指導の充実の両立という5つの観点を挙げています。

  • いじめの認知件数が過去最多となったのはなぜ評価できますか?

    -いじめの重大事態が後を絶たない中、いじめを見逃さない方針でやってきたことを考えると、認知件数の増加は問題の認識が進んでいると評価されることがあります。

  • 不登校の状況がどの程度深刻化していると述べられていますか?

    -不登校者は令和3年度で244,940人となり、90日以上の欠席者が55%に上り、長期化が起こり、やがて引きこもりにつながりかねないという厳しい状況が見られます。

  • VUCA時代の変化に対応するために子供たちに必要な力とは何ですか?

    -VUCA時代に対応するためには、主体的に社会の変化に向き合う姿勢やOECDが重視するエージェンシーという概念に基づく自己の幸せだけでなく社会全体をより良いものにするための意欲を持つことが必要です。

  • 多様な背景を持つ児童生徒に対する生徒指導提要の改訂版のアプローチとは何ですか?

    -改訂版の生徒指導提要是、多様な背景を持つ子どもたちに対する理解と対応、ダイバーシティの認め合い、インクルージョンの推進を具体的に示しています。

  • 生徒指導提要の改定において、教職員一人一人が果たすことが求められている役割とは何ですか?

    -教職員一人一人は、子どもたちを守るための法律の目的や理念を理解し、法遵守のコンプライアンスを重視し、不適切な指導を回避しながら、適切な生徒指導に努めることが求められています。

  • 生徒指導とはどのような教育活動として定義されていますか?

    -生徒指導は、児童生徒が社会の中で自分らしく生きることができる存在へと自発的、主体的に成長や発達する過程を支える教育活動として定義されています。

  • 自己指導能力の育成とはどのような能力を意味していますか?

    -自己指導能力の育成とは、児童生徒が自己理解に基づき、主体的に問題や課題を発見し、目標を選択設定し、その目標の達成のために自発的、自立的かつ他者の主体性を尊重しながら行動を決定し実行する力の育成を意味しています。

  • 生徒指導の方向性における3つの基本的方向性とは何ですか?

    -生徒指導の基本的方向性は、児童生徒が自発的主体的に成長する発達する過程を支える生徒指導への転換、教科の学びを社会で充実して生きることにつなげる学習指導と生徒指導の一体化、学校内外の連携協働に基づくチーム学校による生徒指導体制の構築です。

  • 発達的生徒指導とはどのような概念で、どのような役割を持っていますか?

    -発達的生徒指導とは、特定の課題を意識することなく全ての児童生徒を対象に、学校の教育目標の実現に向けて教育課程内外の全ての教育活動において進められる生徒指導の基盤となるものです。コミュニケーション力、共感性、課題解決能力、キャリアデザイン力、市民性、人権意識など、共生社会の一員として必要な能力を獲得するための働きかけを通じて、すべての児童生徒の発達を支えます。

  • 学習指導と生徒指導の一体化を図るために、教員はどのようなアプローチを取るべきですか?

    -学習指導と生徒指導の一体化を図るために、教員は授業づくりに生徒指導の視点を意識し、児童生徒一人一人が個性を伸ばし社会性を身につけるような環境を作りながら、教室での教科の学びを個性の伸長や社会性の獲得につなげていくアプローチを取るべきです。

  • チーム学校による生徒指導体制の構築に必要なこととは何ですか?

    -チーム学校による生徒指導体制の構築には、多様な専門人材が責任を伴って学校に参画し、スクールカウンセラスやスクールソーシャルワーカー、スクールロイヤーと連携協働することが求められます。また、教員が教科指導や生徒指導に注力し、学校が社会に開くことで専門家、地域保護者、関係機関と連携共同を強化することも重要です。

  • 生徒指導の取り組み上で留意すべき4つの点とは何ですか?

    -生徒指導の取り組み上で留意すべき4つの点は、児童生徒の権利に関する教職員の共通理解、ICTの活用、小学校低年齢の暴力行為に対応する教育の円滑な接続、教育改革法で示された社会的自立に向けた切れ目のない支援の提供です。

Outlines

00:00

📚 生徒指導提要の改定とその背景

関西外国語大学の新井肇が、生徒指導提要の改定に伴うこれからの生徒指導の方向性について話す。2022年12月に改定された生徒指導提要の背景には、いじめや不登校、自殺などの問題行動の増加、VUCA時代の変化への対応、多様な背景を持つ生徒への対応、法規の改正、教員の業務負担の増加が挙げられる。これらの観点から、生徒指導の在り方を検討する。

05:04

🌟 生徒指導の目的と概念の変化

生徒指導の概念がアメリカのスクールカウンセリングから来ており、個性や社会性を育むことが目的である。日本の生徒指導は、教科の指導と並行して、教育相談や進路指導などの形で行われている。改訂版の生徒指導提要では、児童生徒が主体的に成長する過程を支えることが強調され、自己指導能力の育成が目標とされている。

10:05

👦 児童生徒の多様性と対応

発達障害や精神疾患、家庭内での虐待、貧困、外国籍など、多様な背景を持つ児童生徒が増加している。生徒指導提要の改訂版では、これらの子どもたちへの理解と対応が具体的に示されており、多様性を受け入れ、インクルージョンを推進することが求められている。

15:08

🛠️ 生徒指導の3つの基本方向性

生徒指導の方向性として、3つの基本的な方針が示されている。1つは、生徒が自発的・主体的に成長する生徒指導への転換。2つ目は、学習指導と生徒指導の一体化を図ること。3つ目は、学校内外の連携に基づくチーム学校による生徒指導体制の構築である。

20:09

🔄 生徒指導の重層的支援構造

生徒指導の展開には、2軸3類4層の重層的支援構造が提案されている。これは、時間軸に基づく予防的・リアクティブな生徒指導と、課題性・対象に基づく分類が含まれており、発達的生徒指導を通じてすべての児童生徒の成長を支える仕組みとなっている。

25:15

🤝 チーム学校による連携と支援

チーム学校の構築が、生徒指導の充実と教員の働き方改革の両立を目指している。多様な専門家が学校に参画し、教員は教科指導や生徒指導に注力することができる。連携協働を通じて、子ども一人一人への支援の密度と質を高め、新たな支援策が生まれる仕組みが期待されている。

🔄 生徒指導の留意点とリフレクション

生徒指導の取り組みにおいて、児童生徒の権利に関する共通理解、ICTの活用、幼児教育と小学校教育の円滑な接続、社会への自立に向けた支援の重要性が強調されている。最後に、教職員がリフレクションを行い、授業を通じて生徒指導の4つの視点を意識した事業づくりを進めていくよう呼びかけている。

Mindmap

Keywords

💡生徒指導

生徒指導とは、児童や生徒が社会の中で自己らしく生きる存在として成長する過程を支える教育活動のことを指します。このビデオでは、生徒指導の重要性とその方向性が議論されており、児童生徒の問題行動や不登校の増加、VUCAな時代の適応など、多様な課題に対応する上で生徒指導の役割が強調されています。

💡改定

改定とは、既存の法律や規則、計画などを見直し、必要に応じて変更することを指します。ビデオでは、生徒指導提要の改定が12年ぶりに行われ、その背景や意義が説明されています。改定は、時代の変化や新たな課題に対処するための重要なステップです。

💡VUCA

VUCAは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、および振るわし(Ambiguity)を表す言葉です。ビデオでは、現代の社会がVUCAの特性を持つとされ、子供たちがそのような環境に適応する能力を身につける必要性が生徒指導の中で強調されています。

💡エージェンシー

エージェンシーとは、個人が自己の意志で行動し、社会の変革を起こす能力を指します。OECDが重視する概念であり、ビデオでは、生徒指導の中で子が主体的に社会の変化に対処する姿勢を育むことが求められると説明されています。

💡多様性

多様性は、異なる背景、文化、能力を持つ人々が存在することを指します。ビデオでは、多様な背景を持つ児童生徒が増え、生徒指導においてそれらの多様性に対処し、インクルージョンを促進することが重要であると語られています。

💡自己指導能力

自己指導能力とは、個々が自己理解に基づいて目標を設定し、それを達成するための意思決定と行動を起こす力です。ビデオでは、生徒指導の目的の一つが自己指導能力の育成にあるとされ、児童生徒が社会で自立するために必要なスキルです。

💡発達指示的生徒指導

発達指示的生徒指導は、特定の課題を意識せずにすべての児童生徒を対象に、教育目標の実現に向けて行われる生徒指導の基本盤を指します。ビデオでは、発達指示的生徒指導が、生徒指導の重層的支援構造における重要な役割を果たしていると説明されています。

💡学習指導と生徒指導の一体化

学習指導と生徒指導の一体化とは、教科の学びと生徒指導を組み合わせ、児童生徒一人一人の個性や社会性を育むことを目的とした教育のアプローチです。ビデオでは、この一体化が、これからの生徒指導の方向性の一つとして示されています。

💡チーム学校

チーム学校は、教職員、専門家、保護者、地域の関係機関などが協力し、児童生徒の支援にあたる教育のモデルです。ビデオでは、チーム学校による生徒指導体制の構築が、生徒指導の充実と教員の働き方改革の両立を目指す重要なステップとして提唱されています。

💡社会的自立

社会的自立とは、個々が社会において自己の生活を自立し、責任を負いながら生きることができる能力を指します。ビデオでは、生徒指導の最終的な目標として、児童生徒が社会の中で自分らしく充実して生きることを支援する社会的自立に向けた教育が求められていると強調されています。

Highlights

関西外国語大学の新井肇が生徒指導提要の改定について講演。

生徒指導提要が2022年12月に12年ぶりに改定された背景を説明。

児童生徒の問題行動や不登校が増加し深刻化している現状を指摘。

いじめの認知件数が過去最多を記録した令和3年度のデータ紹介。

生徒の自殺問題が2022年に過去最高を超え、深刻さを強調。

問題行動は生徒が抱える問題を社会に伝えるメッセージと捉えるべき。

VUCA時代の複雑性に対処するための生徒指導の方向性について。

多様な背景を持つ児童生徒への対応が生徒指導提要改訂版で具体化。

生徒指導提要改訂版における多様性とインクルージョンの重要性。

関連法規の成立・改正が生徒指導に与える影響を考察。

教員の多忙な状況と働き方改革が生徒指導に与える影響。

生徒指導の目的は自己実現と社会科の育成の両方であると定義。

自己指導能力の育成が生徒指導の目標として位置づけられ、その定義が改訂版で明確化。

生徒指導の3つの基本方向性が改訂版で示され、その内容を要約。

発達的生徒指導の概念が改訂版で導入され、その意義と内容を解説。

学習指導と生徒指導の一体化が求められ、その取り組みの方向性。

チーム学校による生徒指導体制の構築が目指され、その意義と取り組み方。

生徒指導における留意点の4つが改訂版で示され、それぞれの重要性。

Transcripts

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関西外国語大学の新井肇です

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これから皆さんと一緒に

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生徒指導Ⅰとして

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生徒指導提要の改定を踏まえた これからの生徒指導の方向性について 考えていきたいと思います

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本日の 研修の流れですまず はじめに

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2022年12月に12年ぶりに改定され た生徒指導提要この

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改訂の背景に何があるのかということを 確認したいと思います

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そして 改めて生徒指導とは一体何かということに

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ついて明らかにしたい その上でこれから 生徒指導がどのような方向性を目指して

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いるのかということについて 検討していきたい そんな風に思います

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まず生徒指導提要が改訂された背景です5 つの観点があると考えております

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一つ目は 児童生徒の問題行動不登校と生徒指導上の

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諸課題が増加し、かつ深刻化しているという ことです

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いじめの認知件数は 令和3年度61万5351

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件 過去最多となりました

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しかしながらいじめを見逃すまい深刻化さ せまいという方針でやってきたことを

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考えるとこの数字の増加は評価できます 問題はこちらです いじめの重大事態が後を

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絶たない とりわけいじめが原因で 命に関わるような事象が起きるあるいは体

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に大きな怪我を負う多額な金品の強奪が あるという1号重大事態が

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過去最多の349件という数字を示して いるこのことは大きな問題だというふうに

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考えることができます 不登校も

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令和3年度 244,940人さらに90日以上の欠席

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者が55%と 極めて不登校が深刻化しその中で長期化が

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起こっている やがてこのことが引きこもり というようなことにつながりかねないそう

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いう意味で極めて 厳しい状況が見られます

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暴力行為に関して言うと中高は全体的に 減少傾向が見られます けれども小学校

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とりわけ 低年齢の

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暴力行為の増加これが深刻であります

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そして 児童生徒の自殺の問題です

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2022年小学生17人中学生143人 高校生354人

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初めて500人を超える 子どもたちが自ら命を絶ってしまうこんな

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深刻な状況が起きてしまっている

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このような問題行動不登校が 極めて増加し深刻になっているということ

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なんです このことを捉える時に問題行動って一体何

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なんだろうか一つの捉え方で問題行動と いうのは

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児童生徒が自分の 抱えている問題を

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我々大人や社会、教員や学校に自分の抱えて いる問題に気づいてくれそのような

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メッセージとして送ってきているものと いう捉え方もできると思うんです

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困った行動でもそれは 課題を抱えて困っている子が

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示している心の危機のメッセージなのでは ないかそんな観点で問題行動や不登校を

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捉える必要があるように思います

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2つ目 VUCAな時代と言われております 変動

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極まりない 先行きどうなるかわからない 複雑に様々なことが絡み合い正解が見え

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ない 実際気候変動による自然災害が相次ぎ ロシアによるウクライナへの侵攻という

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ような流動的な国際情勢も見られます AIによって仕事が変わっていくコロナの

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感染症も 十分な治療ができないままに

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ウィズコロナという時代に入ってまいり ましたそのような変動極まりない社会の中

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で子供たちがどのような力を身につける 必要があるのか2016年の中央教育審議会

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審議のまとめで受け身で対処するのでなく 主体的に社会の変化に向き合っていくその

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ような姿勢が必要なんだということが強調 されましたこの考え方の背後には

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OECDが重視するエージェンシーという 概念があります

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文科省はこのエージェンシーについて自ら 考え主体的に行動し

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責任を持って社会変革を実現していく個人 の

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幸せだけではなくて社会全体をより良い ものにしていくそのような

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姿勢意欲を持つことが必要だということを 指摘しております

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そして多様な背景を持つ児童生徒が増加し ております発達障害がある子が通常学級に

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8.8%いるという数字も出てまいりまし た

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精神疾患がある子供も少なくありません 性能性そして家庭の中で虐待を受けている

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過剰な家事労働を強いられている 貧困さらには外国籍の子どもたちも増えて

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おります このような多様な背景を持つ子どもたちに

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対してどのような 丁寧な対応していくのか

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生徒指導提要を改訂版ではそのことについ て第12章第13章で多様な背景を持つ

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子どもたちへどのような 理解と対応していけば良いのかということ

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を 具体的に

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示しております

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求められるのはお互いが多様性を認め合い ダイバーシティですそして

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排除ではなく 包摂を進めていくインクルージョンこれが

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大きな目標として 示されております

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4点目は生徒指導に関連する法規が 2013年のいじめ防止対策推進法を

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皮切りに次々と成立し 改正を見てきたということです

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子どもたちを守るためのここに示しました ような法律これがどのような目的を持って

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作られたのかどのような理念があるのか その中で教職員一人一人がどのような役割

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を 果たすことが求められているのかそのよう

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な理解をすることが不可欠であるだろう それなしには子供を守ることができない

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そして 体罰や暴言によって

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子どもたちを 追い込むような不適切な指導がないように

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しっかりと法を遵守するコンプライアンス も求められているこのような状況が4つ目

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の観点として挙げられます そして

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働き方改革と生徒指導の充実をどう図るか ということですここまで見てまいりました

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ように社会経済の非常に急激な変化の中で 学校や教員だけでは

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十分に解決できない非常に複雑多様化した 課題も増えております

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これを一体どう 解決に向けて

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進めていくのか そして日本の教員

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諸外国に比べて非常に幅広く総合的な指導 子どもたちに対して行っているそのことが

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大きな教育効果を上げてきたんだけれども 一方で

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業務が際限なく広がり多忙 労働時間の

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延長というようなことが先生たちを苦しめ ているその中で一体

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働き改革 働き方改革を進めることと問題が山積する

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中での丁寧な生徒指導との両立をどのよう に図るのかこのような

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課題に応えることも 求められております以上5つの観点を

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背景に持ちながら生徒指導提要が改定され ました

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それでは改めて生徒指導とは一体何かと いうことについて考えてみたいと思います

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生徒指導は学習指導と並ぶ学校教育におけ る

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重要な意義を持つ機能です 学習指導は学習の指導 先生が教え

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子どもたちが学ぶという構造のもとで展開 されますもちろん子供たちから学ぶことも

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たくさんあります 生徒指導とは一体何なんでしょう

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生徒の指導おかしいですよね 教える学ぶに対して生徒指導は何なん

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でしょう

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生活面の指導であるという捉え方もでき ます学校や自治体によっては生活指導と

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いう言葉を使っている場合もありますしか しながら生徒指導という言葉この由来は

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アメリカのスクールカウンセリングにあり ます

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1949年戦後教育の民主化の中で アメリカのスクールカウンセリングを

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取り入れガイダンスとカウンセリングこれ を意味する言葉として生徒指導という言葉

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が使われ現在に至っております

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アメリカのスクールカウンセリングという のは

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責任ある創造的市民を育てようとする営み であるそのために子供一人一人の知的能力

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個人的社会的能力 職業選択能力を開発していくんだ これを

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受けて日本の生徒指導が進められている わけです

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学校の教育活動これを見たときにまずは 教科の指導これが中心にあると思います

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しかし評価の学習だけでは 十分な人間形成が

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図られるとは限らない それで教科外の活動 講義の生徒指導として

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カウンセリングとしての教育相談 ガイダンスとしての競技の生徒指導そして

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進路指導進路相談これら 講義の生徒指導さらにこれに加えて特別

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活動道徳性市民性を養う教育これらが学級 という場で展開されています

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学級の中にもあるいは特別支援学級にも 特別なニーズを持った特殊支援教育が必要

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とされる子どもたちもいます それら総合的な学習あるいは

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活動を通じて 集団を高め子供一人一人が育っていくその

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ための 働きかけが学級経営でありホームルーム

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経営であるそんな風に学校の教育活動を 捉えることができると思います

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その中で生徒指導とは何か 改訂版ではこのように定義されております

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生徒指導とは児童生徒が社会の中で自分 らしく生きることができる存在へと自発的

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主体的に 成長や発達する過程を支える

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教育活動のことである なお生徒指導上の課題に対応するために

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必要に応じて指導や援助を行う つまり

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改訂版において させる生徒指導から支える生徒指導へと

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いう転換が 図られているということです主語は子供

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たち 児童生徒なんです子供たちが事故に内在し

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ている良さや可能性に自ら気づきそれを 伸ばしていくそして社会生活で必要な資質

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や能力を自ら身につけるこれを支えていく のが生徒指導であるということです

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生徒指導の目的は大きく二つあります一つ は

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児童生徒一人一人の自己実現を目指して いく個性化を応援するという

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働きです もう一つは

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責任ある社会づくりの 担い手として

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子どもたちが育っていく社会科を支えると いう働きです消極的な意味で言えば社会に

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適応していく法を守る 税金を払う

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積極的な意味で言えば先ほどの エージェンシーですより良い社会を作って

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いくその担い手となる個性化に軸足を置く のが

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教育相談、キャリア教育と言えるでしょう そして社会科に軸足を置くのが

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狭義の生徒指導という風に言えると思い ます

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生徒指導の目標は何か 自己指導能力の育成 ということですこれは2010年の生徒

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指導提要から変わっておりません ただ 改訂版ではかなり細かく定義をいたしまし

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た 自己指導能力とは

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児童生徒が深い自己理解に基づき何をし たいのか何をするべきか主体的に問題や

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課題を発見するそして自己の目標を 選択設定しこの目標の達成のために自発的

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自立的かつ他者の主体性を尊重しながら 自分の行動を決めそして実行していく力と

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いう風に 定義しておりますこの

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獲得を支えていく これが生徒指導なんだ じゃあ自己指導能力を子供たちが身に

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つけるために何をしたらいいのか 教職員の働きかけとして一つは自己存在感

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の感受これができるように配慮していく 共感的な人間関係を育成する自己決定の場

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を提供するこれが従来の生徒指導の3機能 と言われていたものですこれに加えて安全

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安心な風土の情勢ということを加えてこれ らが自己指導能力を子供たちが獲得する

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ための実践上の視点という風に 捉えることにいたしました

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一人一人が自分が大事にされているという 感覚を学級の中であるいは学校全体の中で

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感受する お互いを尊重し合いながら自分たちが

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協力し合えるそのような関係を学級の内外 に築いていく自分の意見を表明したり

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仮説を 打ち立てたりあるいはいろいろな作品を

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作ったりする自己決定の場をできるだけ 多く提供するそして安心して自分の思った

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ことを言ったりあるいは 失敗ミスを恐れずにいろんなことに

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チャレンジできるような事業や学校生活が 送れるような風土を作っていくこのことが

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生徒指導の実践上の視点として 示されています

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従いまして生徒指導というのはおそらく 学習の指導である学習指導に対して社会の

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中で 充実して生きることを支えていく

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課題に応じて指導や援助をしていく総合し て子供たちを支援していく

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営みであるというふうに捉えることが できるのではないか

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従って 育てる

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育つという構造のもとで子供たちのウェル ビーイングこれを目指していく

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教育活動という風に捉えることができると 思います

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ここまでのことを踏まえて生徒指導定容 改訂版が示すこれからの生徒指導の方向性

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について見ていきたいと思います 基本的な方向性は大きく3つです一つ目は

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児童生徒が自発的主体的に成長する発達 する過程を支える

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させる生徒指導から支える生徒指導への 転換これが大きく方向性として

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示されております2つ目は教科の学びを 社会で充実して生きることにつなげる学習

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指導と生徒指導の一体化を図るということ です 3つ目は学校内外の連携協働に基づい

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て チーム学校による生徒指導体制を構築して

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いくこの3点が基本的方向性として 示されております

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成長発達を支える生徒指導の展開 これに ついて

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生徒指導の2軸3類4層の重層的支援構造 が示されています

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2軸というのは時間軸ですことが起きる前 に先手を打って日常の教育活動の中で生徒

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指導を進めていく ことが起こりつつあることが起きてしまっ

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たその後に問題解決を図るように 子どもたちあるいは周囲に働きかけていく

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リアクティブな生徒指導これが時間軸で2 軸さらに

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課題性と対象に応じてこれを3類に分け ました

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すべての児童生徒を対象とする発達指示的 生徒指導 これは特定の課題を意識しており

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ません特定の課題に 焦点化してすべての児童生徒に対して

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未然防止のための働きかけをしていく 未然防止教育そして一部の生徒に対して

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課題を早期に発見し対応していく 課題予防的生徒指導の中の早期発見早期

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対応 そしてそれでも深刻化していくその 課題に対して

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解決を目指す 混乱課題対応的生徒指導という

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3類4層の重層的支援構造というのを 提示しております

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発達的生徒指導という言葉聞きなれないか もしれません

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発達心理的生徒指導というのは特定の課題 を意識することなく全ての児童生徒を対象

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に学校の教育目標の実現に向けて 教育課程内外の全ての教育活動において

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進められる生徒指導の基盤となるものです

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具体的には先生たちが子供たちに日々 声かけをしたり励ましたり対話をしたり

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授業や学校行事の中で 子や集団が

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成長していくことを目指して働きかけて そのような

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働きかけの中で 児童生徒がコミュニケーション力や共感性

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課題解決能力キャリアデザイン力こういっ たものを

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身につけていく そして共生社会の一員と なるための市民性人権意識というような

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ものを 獲得する そのようなすべての児童生徒の

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発達を支える働きかけを発達指示的生徒 指導というふうに名付けております

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つまりこれまで日常的に子供たちに関わっ てきた事業の中であるいは事業外での

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関わりこれらがすべて生徒指導であると いう意識を持ちましょうというのが発達的

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生徒指導という考え方です

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この重層的支援構造をいじめ対応に照らし てみると少し分かりやすくなるかもしれ

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ません いじめ対応において日常の教育活動の中で

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子供たちが多様性を認め人権を守る人に 育っていくこのことがいじめ防止に

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つながっていくだろう発達指示的生徒指導 ということです

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いじめという問題に焦点化し道徳学科の 時間ホームルーム活動等においていじめ

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防止のプログラム事例研究をしたりロール プレイをしたりというようなことをやって

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いく アンケートを取ったり面談をしたり日々の

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健康観察の中でいじめの予兆に気づき早期 に発見対応していくそしてそれでも深刻化

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してしまったあるいはSNSの中で気が ついたら非常に深刻な状況が起きている

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この解消に向けて組織的な指導援助をして いく これが混乱課題対応適性と指導という

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ことになります

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2つ目の方向性は学習指導と生徒指導の 一体化ということです

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学習指導要領 解説総則編を見ると現行の学習指導要領と

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以前の学習指導要領でほとんど変わって おりません

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学習指導と関連付けながらという言葉が小 学校において中学校において高等学校に

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おいて特別支援学校において加わったと いうことなんです学習指導と生徒指導を

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関連付けるそのことによって生徒指導の 充実を図っていくということが

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示されております 事業の中で知識や思考力を

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育て学力を高めるこれはこれからの社会を 生き抜いていく上で必要不可欠なことだと

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思いますしかしそれだけではなくて事業の 中で児童生徒一人一人が個性を伸ばし社会

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性を身につけるこのような生徒指導の視点 を

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意識して事業の中に組み込んでいくつまり 先ほどの4つの生徒指導の実践上の視点を

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意識して 授業づくりをしていくそのことによって

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教室での教科の学びを個性の伸長・社会性の 獲得というところにつなげていく

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社会で充実して生きるというところに つなげていくということが生徒指導と学習

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指導の一体化ということだと思います そのような視点ですでに行っている学習

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指導を見直していただければと思います グループの活動をするこれは教科の指導と

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いう観点から見れば対話的な学びの実現 です 生徒指導の観点から見れば共感的な

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人間関係の育成ということになりますその ような

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観点から授業に内在化した生徒指導を展開 していくということをこれからの方向性と

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して考えていただければというふうに思い ます

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3点目の生徒指導の方向性です チーム学校による生徒指導体制の構築と

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いうことが目指されております 中央教育審議会が2015年に

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チームとしての学校のあり方と今後の改善 方策についてという答申を出しました

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この中で多様な専門人材が責任を伴って 学校に参画することが望まれる

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スクールカウンセラースクールソーシャル ワーカーさらにはスクルロイヤーと連携

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協働し そのことによって教員はより教科 指導や教員ならではの生徒指導に注力して

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いく 学校が学校社会に開くことによって

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専門家地域保護者 関係機関と連携共同を強化することによっ

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て生徒指導の充実と教員の 働き方改革この両立を目指していくという

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ことがここでは示されております しかし連携するというのは言葉で言うほど

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簡単ではありません連携していくためには お互いがお互いの

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専門性を理解しやそしてさらに相互に尊重 し合うことが大切ですそうすることによっ

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て 初めてパートナーとしての

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協力関係を築くことができるんだと思い ます

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さらに子供の危機は社会の問題なんだ そのために

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学校の教職員 専門家保護者関係機関が目標一致して子供

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支援にあたっていくそのような認識を共有 することが不可欠であるというふうに思い

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ます 生徒指導を巡って学校が関係する地元の

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関係 専門機関ここに示したようなものがあり

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ますこれらがどこにあってどんな人がいて 何ができて何ができないのかということを

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しっかりと理解しておくそのためには先生 たちが何でもない時にこういう期間を訪ね

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てその 働きについて

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理解していくということも必要でしょう 場合によっては子供たちを総合的な学習

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時間総合的な学習の時間等にこういう ところに行ってどんなことをやっているの

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かということを調べ学習するというような ことも

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意味を持つかもしれませんそうすることで 先生たち子供たちとこういう期間が顔の

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見える関係を作ることが可能になると思い ます

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社会に開かれた チームとしての学校が作られればそのこと

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は生徒指導に大きな効果をもたらすと思い ます

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担任1人はできないことも学校の中の組織 で対応するさらには他職種の専門家と連携

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協働して 解決にあたっていくそうすることで支援者

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一人一人の負担を分散しそれぞれが関わる 場での支援の密度質を高めることが可能に

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なりますまた 専門性が異なる

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異質な発想が交わることによって 幅広い新たな支援策が生み出されることに

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もなっていきます そうすることで

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子どもたち一人一人が 幸せに近づいていくことができるのでは

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ないかそんな風に思う次第です

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最後に生徒指導庭園を改訂版が示す 取り組み上の留意点について説明したいと

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思います4つあります一つ目は 児童生徒の権利に関して教職員が共通理解

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を図るということです 子供支援の視点に立った生徒指導を展開し

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ていくその 基盤になるのは国連児童の権利に関する

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条約そして子供基本法ですここに示されて いる

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理念をしっかりと踏まえて 子ども支援に立った生徒指導を進めていく

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ことが 求められております

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2つ目は ICTの活用ということです

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場合によればうまく言葉にできない子供 たちが

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タブレットの端末から自分の悩みや不安を 先生に伝えるということも可能になるかも

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しれませんあるいは不登校の児童生徒に 対してオンラインで学習の機会を

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提供するそのような活用も考えられます 3つ目は小学校低年齢の

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暴力行為が増えているということもお示し いたしました

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幼児教育と小学校教育の 円滑な接続を図る小学校1年生の不登校も

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見られます スタートカリキュラムの工夫も必要

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でしょうそして4点目は 教育改革法で示された社会的自立に向けた

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切れ目のない支援をしていく 児童生徒が社会の中で自分らしく生きる

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ことができるそのような存在になるように 学校と社会をつないで

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切れ目のない支援をしていく最終的に社会 の中で充実して生きることができるように

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社会を上げて応援していこう これが生徒 指導の取り組み上の留意点の4番目です

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以上のことを 意識してこれからの生徒指導を進めていく

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ことが学校教職員に求められています 最後にすべてを振り返ってリフレクション

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をしていただきたいと思います 授業は すべての児童生徒を対象とした発達指示的

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生徒指導の場となります 各自の授業を振り返って

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児童生徒が自己指導能力を身につけるため の生徒指導の実践上の4つの視点が

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組み込まれて授業になっているかどうか またこれから実践していく授業において

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この 視点を

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意識した事業づくりを進めていくとしたら どんな工夫が考えられるか皆さんで

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検討していただければと思います 以上で生徒指導Ⅰの講義を終わりといたし

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ます ご清聴いただきどうもありがとう ございました

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